
誰も観てなさそうとは言っても誰かが観てなきゃ、
こうしてソフトになってないが、
今時には誰も観てなさそうな映画を勝手な主観でご紹介。
キレた悪役から物静かなオッサンまで見事な演技だけじゃなく、
男の憧れの晩年に若い娘と交際までもこなしてしまう、ゲイリー・オールドマン。
そんなゲイリー・オールドマンがアル中と父親への怨みを断ち切り、
自費で製作・監督・脚本までこなした作品「ニル・バイ・マウス」
製作にリュック・ベッソンのクレジットがありますが、
おそらくは補助程度だろうって位にベッソン味は無いです。
色々こなしてるのに自分は出演してないゲイリー・オールドマン。
それもその筈、この作品を撮ることがトラウマを断ち切り、
先へ進む方法だったんだろうから、作品に自分が出てたら、
自己を投影させられないからだろう事は作品を観れば明らか。
監督がイギリス出身で舞台がロンドンとなると、俳優陣はほとんどイギリス人。
出演は、最近はハリウッドでも活躍してる、レイ・ウィンストン。
「ロンドン・ドッグス」「コールド・マウンテン」とか、
ロバート・カーライル主演の「フェイス」でも活躍。
若干、演技が粗い感じだが、この作品には合ってます。
でもって痛々しい目に遇うのが、キャシー・バーク。
やっぱり「ロンドン・ドッグス」なんかにも出演してるが、
この作品ではカンヌ主演女優賞を受賞したと記憶してる。
脇役にジェイミー・フォアマンが出てるんだが、
この人は「レイヤー・ケーキ」の時のキレっぷりに比べて寡黙な役回り。
この作品を観た当時のイギリス映画ってなると「トレインスポッティング」
しかし、「トレインスポッティング」が、ドラッグを扱いながら、
スタイリッシュでコミカルなのに比べて、
「ニル・バイ・マウス」は暗くてダサくてリアルだ。
海外に頻繁に行くと解るが、ジャンキーは本当にクズでダサい。
特にイギリスの貧民的な場合は惨めな雰囲気が漂ってる。
ゲイリー・オールドマンの上手いのは、そこら辺をきっちり捉えて、
崩れた男の姿を生々しく描いてる。
この映画を観たら、対極の作品として、
ロバート・デ・ニーロが監督した「ブロンクス物語」も観て欲しい。
ゲイリー・オールドマンは子供に観せれる作品に出たいって事で、
一時期からハリウッド大作に多く出演しだしたが、
アル中でもがいてる時期の演技がやっぱり鬼気迫るもんがあった。
個人的には「the sin」とか「スパイラルバイオレンス」みたいな、
B級作品でもきっちり演技が光ってるゲイリー・オールドマンも嫌いじゃないが。
90年代は、アメリカのXジェネレーションに対して
「トレインスポッティング」みたいに、イギリスのスタイリッシュな作品が、
やたらと持て囃されたりもしてた感があるけど、
「ニル・バイ・マウス」みたいな暗くて生々しくダサい作品を
もっと世に出してくれても良いんじゃなかろうかと思う。
初めて観た当時、この作品の冒頭3分の卑猥な会話のベタさに引き込まれました。
そりゃあ、クラプトンが音楽とか担当しちゃうよな。