• 2017/05
  • 14 Sunday
  • 21:00

9SIGNALS 9-0



情熱は最も人を動かす燃料だ。
夢や目標が有れば、情熱という名の燃料を生み出す。

しかし、
情熱は最も利用され易い燃料でもある。
特に、クリエイティブと言われる仕事の現場では、
情熱を持って従事する人達が、見合わぬ対価で雇われ、
現実の厳しさに夢や目標を見失い、去って行く。
そんな話をよく耳にするし、目にする事もあった。

特別、そんな人達に憐れみや同情は感じないし、
雇う側や、そうなっている業界に憤りも感じない。
いくら綺麗事を言おうが、どんな世界だろうと、
夢や目標を見失い去って行く者は、それまでだっただけ。

夢も目標も、届く迄の険しさが如何程かと、
情熱と共に覚悟を決めても、現実は遥かに厳しい。

何かから去って行く人に限らずだが、
自分が情熱を注ぎ、過ぎ去った時間に対して、
現在の自分の価値観や美意識にそぐわないと、
自分の過去を「黒歴史」なんて言葉で表し、
恥や失敗として隠蔽したがる人も少なくない。

情熱が燃え尽き、黒い煤となってしまった時間。
そんな時間や痕跡を消し去りたいという事なのだろうか?

人の目に映る世界、光の反射による像、絵画や写真は、
光が表す像に、影が輪郭を浮かび上がらせ、
影の濃淡が味わいや美しさに深みを与える。
特殊な場合を除いて影の色は、黒である。

何かに情熱を燃やした過去の自分を切り捨てたり、
失敗にならない様に情熱を持たなかったり、
寧ろ、情熱なんてモノを発揮しない方がスマートだと、
額に汗する事すら嫌う様な生活がクールかの様に、
生きる中で必ず現れる影を嫌う人の人生は、
大概が輪郭がボヤけて薄っぺらだ。

その時、その場所、その対象でしか燃やせなかった情熱。
燃え尽きたとしても、過ちにするか?糧にするか?
決めるのは、常に現在の自分次第だ。


SIGNAL9 BUILT FOR SPEED

旅の終わり。
旅が終わったからって、何が手に入るのか?
誰かに説明し切れる程の言葉を、俺は持っていない。

時折、考える。
何処に辿り着きたいのか?
自分の夢や目標は?

賢いやり方、賢い選択。
そう呼ばれる方法や手段が、幾つも思い浮かぶ。
旅をするにしても、楽な道は幾つもあるだろうに。
誰かから忠告を受ける事は幾度もあった、
初めて旅に出る以前から今迄、ずっとあった。

少し、昔話を。

REFUSEって名前で店を構え、物創りを始めた頃は、
組織としては、地元の仲間が集まった会社でやってた。
マヌケなガキの頃からの付き合いで、
溜まり場から単車に乗って、朝まで気ままに流して、
9SIGNALSなんて遊びをやってた仲間と。

物創りはブランドへと進歩して、海外へ勝負しに行く頃、
アパレル業界の歳上の人や、先輩達から言われた。

「高蝶は世界に出れる才能が有るかもしれないけどさ」
「甲子園の優勝チームじゃあ、メジャーリーグで勝てない」

俺よりも上の世代の人達の流行りなのか、
何人かに同じ様な例えで、俺のやり方に忠告を受けた。
要するに、地元の仲間だけで強いと思ってても、
世界に出たら通用しない。って事を言われてた。
そんな時、俺はいつもこんな感じの言葉を返した。

「300キロの豪速球投げて、毎打席ホームランなら勝てますよ」

俺は、本気でそう思ってた。
自分に才能が有るかどうか判らないが、
世界に通用するかどうかも判らないが、
300?の豪速球、毎打席ホームラン。そんな例えみたいに、
自分のクリエイションの能力を上げていけば、
このままのチームでも世界に通用する筈だ。

人らしい暮しも無く物創りをひたすら鍛え続け、
生活も遊びも無くし物創りに従事して鍛え続け、
考え得る限りの、出来る限りの方法で鍛え続け、
海外での展示会を幾度も繰り返し、海外での取引先が増え、
自分のブランドが通用する様になった頃でも、
まだ300キロの豪速球は投げれてないし、
毎打席ホームラン打つ事も出来無いままで、
更に速く、更に強く、休まずに鍛え続けて、
ようやく、世界に通用する基本が出来上がった頃、
昔からの仲間は誰も居なくなっていた。

遊び、喧嘩、単車、バンド…………。
いつもそうだった。
真剣にやればやっただけ、仲間は居なくなっていく。

「本気すぎて付いていけねぇよ」
「お前は強いからいいよな」

去って行く奴等が言う言葉は、いつも同じだ。
恨みや憎しみなんてありゃしない。
いつもの事。いつもの言葉。
ただ、それだけの事だ。

きっと、
このSIGNALを越えても何も待っていない。

この旅が無事に終わっても何も変わら無い。
少しずつ流転していく日々が待ち構えているだけだ。

それでも、
何処かへ行き何かを創れば、何かは何処かへ行く。
其の何処かへ行き、其の何かを創りたい。
何も待っていなくても、何も変わらなくても。
この旅の情熱が燃え尽きて、
黒い煤になるか?真っ白な灰になるか?
答に辿り着くのは、其の「何か」の先なのは解ってる。

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