• 2018/09
  • 06 Thursday
  • 23:16

世の中には謎が多い。
そう思ってしまうのは、大概が断片を見るからだ。

原因や理由が解らない事象に出会すと謎と感じる。
常識的でない思考の人に出会した時にも謎と感じる。

しかし、事象の発生時から事後までを全て観察し、
科学的な解説が為されれば大概が謎ではなくなるし、
常識的でない思考も、その人の歴史を紐解いてみて、
心理学的な解説が為されれば大概が謎でなくなる。

つまり、謎の多くは事象や思考の断片や一端だけ、
もしくは其れ等が為した何某かだけを見て謎としてしまう。

例えばこんな話だ。



早朝4時に作業が一段落したので、工房の外に出た。
天気や気温を感じながら工房の軒先のベンチに腰掛け、
缶コーヒーとタバコで少し早いモーニングとしていた。

缶コーヒーを飲み干し、タバコも吸い終わって、
少しだけ余韻に浸るかの様に明るくなる寸前の空を見て、
暗闇と静寂の中で、脳内で1日の予定を確認していく。

その時、工房の向かいのマンションの一室の灯りがついた。
他の部屋が全て暗い中で、四階の一室だけが明るく。

朝が早い人もいるのだろう始発で出勤なのかも知れない。
そんな事を何となしに思うか思わないかの瞬間。
軽快なリズムが大ボリュームで鳴り響いた。

音の発信源は間違い無く灯りがついた部屋だ。
目覚ましのアラームが鳴っているのだろうか?
少し近隣の部屋には迷惑だろうが消し忘れだろうか?

謎というには単純に答が予測可能な程度の疑問が浮かんだ。
その次の瞬間、聞き覚えのあるメロディーが、
最大ボリュームで暗い夜道に鳴り響いた。

世界が終わるまでわぁぁぁ〜♪
離れるぅ〜ことぅもなぁぁい♪


…………………WANDSじゃん。
ウェスギのWとシバサキのSを合わせるANDでWANDSじゃん。

早朝4時に突然灯りがついたマンションの一室から、
最大ボリュームで暗がりに鳴り響くWANDS。
サビは住人もノリノリの大声で歌ってるWANDS。

迷う事なくその部屋にデカイ石を投げこんだ、俺。

明らかにガラスが割れる音がして、WANDSは鳴り止んだ。
そして、再び静寂が訪れた夜明け直前の通りに、
小さな声で、「……ゴメンナサイ」と住人の声がして、
ついていた灯りも消えて微かにガラスを片す音がする。

「何で?ねぇ、何で?何でWANDS?」

暗闇の中で問い掛けたが、答は返ってこなかった。
謎だ…………………。

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