流れ、回転、リーディング、テクスチャー、
バトルの後で大先生と会話して判ったことだが、
互いに得意な部分の幾つかは禁じ手にして、
シンプルにしてディープな戦い方を選んでいた。
申し合わせずとも合致した戦い方で迎えた結末。
これが、五年後だったら…………。
果たしてどんな結末だったろうか?
造形力と隣り合わせに在る表現力。
どちらも技術無くして本当の意味では成り立たないが、
造形力は修練により、表現力は経験によって培うモノで、
修練は物に、経験は語に置き換えられ、
二つ合わせれば物語となる。
ただ流れを彫る、回転を理解し造形する。
ただ読み取って合わせる、反発して切り返す。
面白味だけでテクスチャーを施し完成させる。
それだけではクリエイションにストーリーは生まれない。
流れの中に組み合わさった軌跡や物語を想起させる。
必要無いと言われればそれまでだが、
創り手にとって、創る上では重きを置く部分。
何れにしても、ぶつかり合う面白味が存分に発揮されて、
そこに至る過程がよく表れた対戦だった。
ROUND:4 DUAL FLOW
ROUND:4 SPEED SPECTER
バングルはセンターとエッジにラインが入り、
引き締まった印象が出たが、此れは好みの問題だろう。
ROUND:3終了時点のまま仕上げていれば、
より暗く殺伐とした印象のストーリーになったが、
光の射し込みと引き締まった印象ならば、此れで正解。
リングの方は、大先生には悪いが木目は殺しておいた。
木目に繋がる流れが上手く組めていたならば、
そのまま活かすベクトルもあったかもしれないが、
何れにしろ、同じネタでってのは面白くない。
回転と流れの派生で仕留めさせて貰った。
終わってみればベクトルも上手く組み合わさり、
互いの色が随所に表れたクリエイション。
バトルとしての醍醐味、緊張感も充分だった。
地金を彫る事の面白さ、地金ならではの加工、
回転と流れ、スピードとストーリーは、
大先生に伝わったのだろうか?
創り手としては叔父の様な立場から伝える必要のある事。
あと五年後にはもう皆無に等しくなっているだろうし、
杉山大先生は次のレベルまで達しているだろう。
それでも言葉以上に何かをぶつけ合う時の為に、
またいつの日か、戦場で待ってるぜ。